【目次】
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全国的に深刻な空き家の現状
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空き家が増えている理由
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空き家のままにしておく6個のリスク
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空き家のリスクを減らすために活用できる3つの方法
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空き家管理のために自分でできる4つのこと
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【まとめ】まずは空き家の整理から
1.全国的に深刻な空き家の現状
核家族化に加え、高齢者などの一人暮らし世帯が増えている現代。
平成31年度の総務省の空き家に対する実態調査によると、平成25年で全国の総住戸に対する空き家の割合は13.5%となっており、年々増加傾向にあります。
平成30年度には13.6%と過去最高の数値で、今後も毎年20万戸ずつ増えると言われています。
更に、過疎地域の戸建てを中心に、15年後には住宅全体の4分の1が空き家になるとも予測されている状況です。
空き家として放置されていると住んでいる以上に早く老朽化が進み、台風などの自然災害で倒壊したり、放火など犯罪のきっかけになったりすることがあります。
ここでは空き家を放置することで生じるデメリットと、空き家の活用方法を分かりやすくお伝えします。
2.空き家が増えている理由
日本国内の空き家の数が増え続ける原因として、大まかに以下の4つが関係していると言われています。
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少子高齢化による人口減少
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固定資産税の増加対策
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新築住宅の供給過多
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相続問題の発生
次でそれぞれの原因の解説をしていきます。
少子高齢化による人口減少
まず、何よりも分かりやすいのが人口の減少です。
日本の総人口は平成20年に最も多くなったのを境に、減少傾向にあります。
今後、少子高齢化は進むことで更に人口は減少していくといわれています。
そんな日本の総人口と、総住宅数の推移を比較してみましょう。
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【参考】
総人口 :総務省統計局「人口推計(令和2年(2020年)3月確定値,令和2年(2020年)
固定資産税の増加対策
空き家が有効利用されない要因にあげられるのが、固定資産税です。
家屋を解体して更地を売却すればよいのでは?という考えもありますが、
更地にすることで空き地として土地を所有しているよりも固定資産税が高税率になってしまいます。
この固定資産税という税金は、単に土地を持っているだけの場合と、その土地に家屋が建っている場合では税額が大きく変わってきます。
ここで固定資産税の仕組みについて簡単に説明してみましょう。
固定資産税は一般的に以下の公式で算出されます。
固定資産税=課税標準額×税率ー軽減額
課税標準額とは簡単に言えば「その土地の価格を基準に算出した価格」です。
一般的に公示地価の7割となっていて、各市町村長(東京23区の場合は東京都知事)が定めています。
土地として所有している場合は、この計算式での算出となります。
ですがその土地に住宅が建っている場合、課税標準価格に特例がかかり、固定資産税分は1/6に、都市計画税分は1/3で計算されます。
固定資産税を算出する場合は、さらに負担水準や軽減税額などを算出する必要がありますが、
それでも基となる課税標準額が大幅に軽減されるため、
土地で所有するより、建物を建てたまま所有したほうが固定資産税を抑えられるのです。
新築住宅の供給過多
日本は昔から新築住宅の人気が高く、中古住宅の流通量が少ない国と言われています。
欧米諸国と日本の中古住宅・新築住宅の割合を比較してみました。
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参考:国土交通省「住宅事情について(平成17年2月7日)」
相続問題の発生
相続問題も空き家増加の要因の1つとなっています。
空き家の所有者が亡くなった場合、法的拘束力のある遺言がある場合を除いて、空き家も遺族が相続することになります。
相続人が1人であれば大きな問題にはなりませんが、複数人いる場合は話し合いが必要となり、
相続人の同意がなければ物件の処理や土地の売却などの手続きを行うことができません。
このことから相続問題により交渉が進まず放置される空き家も多く、また所有者がいることから行政が勝手に処分することもできないという現状があります。
3.空き家のままにしておく6個のリスク
空き家となってしまった家屋を放置すると様々なデメリットが生じます。
住んでいるときよりも劣化が早いため修繕する場合は大規模になってしまうこと、
地方公共団体から特定空き家に指定されてしまうことなどを始め6つのデメリットを紹介します。
①老朽化に伴う大規模な修繕が必要になる
人が住んでいない空き家は、人が住んでいる家に比べ風通しが悪いなどの理由から老朽化の進行が早まります。
老朽化した空き家を再度住めるように修繕しようとした場合、どうしても大規模なものになってしまい、
普段人が住んでいる家屋を修繕する場合と比べると、余計な費用がかかってしまいます。
②特定空き家に指定される
「空家等対策の推進に関する特別措置法」の特定空き家に指定されると、地方公共団体が対象の空き家を撤去・修繕させる命令が出ます。
命令に従わないと強制的に代執行されて、その家屋の持ち主は代執行にかかった費用を請求される場合があり、
代執行の方が自身で解体するよりも高額になると言われています。
③危険性が高く近隣住民に賠償責任が生じる
放置された空き家は樹木が伸び放題になっていたり、雑草が生い茂ったりしやすくなります。
このような状況はシロアリの発生源となったり、野良化した犬猫の住処になったりと、近隣住民の迷惑になりかねません。
特に樹木が倒れたりするような酷い損害が発生した場合では、賠償責任を問われることになる可能性もあります。
④自然災害による倒壊の処分費用が必要になる
台風などで少し強い風が吹いたり、地震などで少し強めに揺れたりすると屋根や壁が落ちたり、
ひどい場合には建物が倒壊してしまう恐れもあります。
倒壊してしまったまま放置することはできませんので、この場合も実費で処分費用が必要になります。
⑤不審火・放火で賠償責任が生じる
人が住んでいないことでゴミや枯れ草などが散乱した状態は、放火の対象になりやすいと言われています。
また、放置された建物内に人が入り込んで、失火による火災を発生させる可能性もあります。
このように不審火や放火で隣家など周辺地域にまで被害が及んだ場合にも、
空き家を放置した所有者が賠償責任を問われかねません。
⑥資産価値への悪影響がある
木造の場合は建物の耐用年数は22年とされています。
そのため放置している間に気付けば耐用年数を過ぎてしまっていた、
すなわち建物は無価値になってしまったということになりかねません。
また、放置による劣化によって外観や内装・構造も悪くなっていく為、資産としての評価は益々下がってしまいます。
4.空き家のリスクを減らすために活用できる3つの方法
上記の通り、空き家を放置することは多くのデメリットをもたらすといえます。
ここからは、空き家放置のデメリットを解消する対処法を3つ取り上げていきます。
①空き家を活かして貸す
空き家自体の状況にもよりますが、特に故障や不備が無ければクリーニングをして賃貸に出す方法があります。
(空き家自体の状況が芳しくない場合は、やはり最小限の修理やリフォームをして賃貸に出すという活用法になります。)
賃貸の一例としては、シェアハウス、民泊、戸建賃貸での利用、貸店舗や貸工房などの活用が挙げられます。
【メリット】
・初期費用が少なくて済む
・すぐに・収益を得られる
【デメリット】
・老朽化していたり、耐震基準を満たしていなかったりすると、相応の費用がかかる
・周辺のライバルに勝る魅力を持たせるのが難しい
②建て替えて貸す
次に挙げられる活用法としては、空き家を建て替えて新たな賃貸住宅などを建てる方法です。
この活用法は空き家の解体費用や新規の建物の建築コストがかかるので、
例えば都市部の家賃が高額なエリアでないと収支計算が合わない可能性があります。
したがってこのやり方はすべての空き家に当てはまるものではないので、
活用法として採用する場合には事前にしっかりと収支計画を立てることをオススメします。
【メリット】
・収益性が上がる
・賃貸アパート経営も視野に入れられる
【デメリット】
・初期費用がかかる
・収益を得られるようになるまで手間を要す
③更地にして活用する
更地にすることで場所によっては、駐車場や事業用用地としての活用が見込めるメリットがあります。
他にも更地となれば売却したり、新しい建物を建てやすくなります。
逆に更地にすることのデメリットとしては、解体費用がかかることがあげられます。
また更地にすると、固定資産税が上がることも把握しておく必要があります。
【メリット】
・立地に合った活用法が選びやすい
・一時的な活用方法にできる
【デメリット】
・解体費用がかかる
・固定資産税の負担が重くなることがある
5.空き家管理のために自分でできる4つのこと
建物は人が住んでいない状態で放置すると、急速に傷みが進みます。
更に景観や衛生面の悪化によって、ご近所とのトラブルに繋がる可能性もあります。
こうしたことを防ぐために、自分でできる空き家管理4つのことをご紹介します。
①ご近所へのご挨拶
空き家だったお住いから物音がするので、近隣の方から不審に思われてしまう場合がありますので、
管理を行う場合、作業前に近隣住人の方にご挨拶をしておきましょう。
空き巣や放火などが起きていないかなど、最近の治安状態の他に、
空き家が近隣の方に迷惑を掛けしてしまっていないかなども確認しましょう。
トラブルを事前に防ぐ意味でも、近隣住人の方へのご挨拶は大変重要です。
②室内の換気・建物内部の確認
建物を長期間使用することなく締め切っていると、建物内に湿気がこもってしまい、急速に老朽化が進行してしまいます。
定期的に換気を行い、屋内にこもっている湿気を逃がす必要があります。
定期的に建物の状態を確認することで、「雨漏り」や「外壁の剥がれ」「軒裏の破損」などの建物の異常を早い段階で発見することができます。
特に雨漏りは発見が遅れると建物の耐久性に大きな影響がありますので、十分に注意しましょう。
③敷地内清掃・建物外部の確認
外から見てひと目見て空き家だとわかるような状態は、犯罪や放火のターゲットになってしまう可能性が高くなります。
なので、室内の換気をしている間に敷地内の清掃や、建物外部の確認も行いましょう。
作業内容としては、以下のものがあげられます。
・ポストのチェック
・敷地内のゴミ拾い
・庭木の確認
・水道メーターの確認
・外壁と軒裏の確認
・塀の確認
空き家問題でよくあるのが、伸びすぎた庭木が原因のトラブルです。
敷地内の確認の際に、庭木の成長具合は必ず確認するようにしましょう。
『道路にはみ出していないか』『枝が塀を乗り越えて伸びていないか』などを
しっかりと確認して必要であれば剪定を行うか、業者の手配を行いましょう。
また水道を使用していないのにメーター内部のパイロットが回っている場合、どこかで漏水が起こっている可能性があります。
水道メーターの確認も忘れずに行いましょう。
④室内清掃・内部の確認
最後の作業内容は以下になります。
・室内の掃除
・部屋の壁・天井の確認
・建具の動作確認
・通水
・戸締まり
特に、天井や床を確認し、雨漏りしていないか確認します。
部屋の四隅や増築部分の接合箇所で起こりやすいので、注意して確認してください。
壁などは目で見るだけでなく、実際に触って確認したほうが良いです。
また水道は長期間使用しないでいると、排水管の中の水が蒸発し下水から悪臭がのぼってきてしまうことがあります。
水道が使用可能な場合は、1分程度水を流しておきましょう。
もし水道を止めてしまっている場合は、排水口に蓋をしておきましょう。
6.【まとめ】まずは空き家の整理から
いかがでしたでしょうか?
空き家をどうしたらいいか分からないからと言ってそのまま放置していると、後々さらに面倒な状況になる可能性があります。
今から少しでも、方向性を決めて出来ることから始めていくといいかもしれません。
多くの場合、空き家となった家は暮らしていたままの形で色々なものが残されたままになっていることがほとんどです。
家全体の片付けを急ぐあまり、片付け業者にすべての物の処分を依頼することがあるかもしれません。
もし他の選択肢をお勧めするとしたら、まずはどんなものでも無料査定してもらうといいかもしれません。
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